特定非営利活動法人

渋谷川ルネッサンス

唱歌「春の小川」のモデルとなった河骨川の源流から渋谷川の起点までを歩きます。参加希望者は、下記URLにアクセスして参加登録して下さい。https://forms.gle/3sTMBfpupocrKbeNAメールにて集合時間・場所等の情報をお知らせします。参加費は無料です。

ルソーも描くビエーヴル川

 パリオリンピックで復活するセーヌ川の支流、ビエーヴル川ですが、ルソーも絵の中にたくさん取り入れています。

 人々の生活の中に緑と川のある風景は、どこかしら自然と人との結びつきを感じさせ、国籍や宗教や民族を超えて、その場所に憧れを感じさせるような気がします。

パリは動き始めた ~緑の遊歩道と爽やかな小島をつくろう~

<公開日・2020年8月4日>

悪臭を放つ、コンクリートと鉄と黒カビの渋谷川

緑に囲まれ生態系に配慮したビエーヴル川

―2024年パリ開催オリンピック・パラリンピックで、セーヌ川支流のビエーヴル川約6kmを復活ー

 2024年開催予定、パリのオリンピック・パラリンピックでは、「泳げるセーヌ川にするため水質改善の取り組みとして、支流のビエーヴル川、約6kmを復活させる」と、パリ市が発表。国連の提唱するSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる中、JOCは、新国立競技場では旧明治公園跡地に整備される公園内を流れる予定だった渋谷川復活をあきらめ、公園用地は報道関係車用のコンクリート舗装の駐車場にし、Bゲート周辺に60m足らずの川らしきものを創った。民間では、東急グループが渋谷川の稲荷橋部分の渋谷川に新たにフタをかけ、コンクリートと鉄だらけの広場を作ってオリンピック・パラリンピックを迎えようとした日本とは、まったく異なる展開となった。

パリ市は、2020年10月、ビエーヴル川を復活させると発表。2021年から調査に取り掛かり、最大30万ユーロの予算を考えている。ビエーヴル川はパリ市の中心部を流れる川で、カルチェラタンやパリ大学で知られるパリ5区や13区を流れ、オーステルリッツ駅近くでセーヌ川に合流。全長約6kmに及ぶが、20世紀初めに川の汚染と悪臭により、下水道として転用されてしまった。現在のパリ市長の公約でもあった「自然と共生するパリ市を創る」という言葉とおり、このプロジェクトが始まった。

コンセプトは、「緑の遊歩道と爽やかな小島をつくろう」。水生の連続的な再生と脆弱な生物の多様性が輝きを取り戻すことを目的に始まるのであるが、国連の提唱するSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる中、世界のを代表する都市の中ではいちはやく、今後私達が進むべく道を示したものとして高く評価されるものと考えられる。大量の資源を使って、大量に生産して、大量に宣伝して、大量に消費して、大量に廃棄するということが悲劇的な結末を迎えるであろうことが明白な今、次にどうするのかを選択するのか。私達は、とても大切な選択の時期を過ごしている。

 さて、今回の東京オリンピック・パラリンピックは不幸にもコロナ禍のため、予定通りの開催ができませんでしたが、環境との共生という視点や市民との協同という視点では、もともと十分なものではなかったのではないでしょうか。新国立競技場は、もともと東京都の都市計画審議会で風致地区である明治神宮外苑地区の一部の規制を緩め、建築物の高さ制限などを変更。その後、現在のプランになりましたが、もともと渋谷川のあった部分は渋谷川を再生するという予定で進められていました。しかしながら、報道用の車両を駐車する場所がないという理由で、渋谷川復活予定だった部分は、コンクリートで固められ、駐車場になり、申し分程度にBゲート前に循環式の人工的な水の流れを作るという結果になりました。

 また、同時に進められた渋谷川が開渠になっていた稲荷橋においては、東急グループの進める線路跡地の活用と絡めて渋谷ストリームという商業ビルが建築されました。それに伴い、ビルの前の渋谷川に、更に新しくフタがされて広場となり、渋谷川ルネッサンスが護岸に設置した溶岩パネルが取り除かれてしまいました。この溶岩パネルはなるべく自然に近い環境を創出する目的で設置され、小学校の教科書にも写真入りで掲載されています。更に、今回、新たに再生水を稲荷橋周辺から流すことに伴い、壁泉ということで作られた水のしたたる護岸には黒カビが生え、周囲に悪臭を発生させるという結果をもたらしています。

 東京都は、2019年12月に発表した2040年に向けた長期計画の中で、都市河川の復活をかかげています。その中では、玉川上水を復活させると明記されており、もともと玉川上水を水源としていた渋谷川は、復活が実現する可能性が、相当高まっているのです。川が戻れば、そこに暮らす人・訪れる人が変わり、やがて街や社会が変わります。歴史そのものが大きく変わるのです。ぜひとも渋谷川を再生させるべく、多方面からのご協力をお願い申し上げます。

小学校の教科書『東京の社会』日本標準より

東京オリンピック開催に向けて

<公開日・2015年2月10日>

明治神宮の自然と共生する”新国立競技場”の創造を

―東京オリンピックで失われた川を東京オリンピック・パラリンピックで取り戻そうー

 1964年東京オリンピックを開催するために、東京都内の多くの川にフタをし、道路などに変えてしまいました。私たち「渋谷川ルネッサンス」は、現在では道路の下を流れる渋谷川を、太陽の下を流れる川として取戻し、より素晴らしい東京を創造したいと活動を続けています。

 今、国立競技場の建て替えが動きだしております。競技場の正面玄関の下を流れている渋谷川を再生することを通じて新しい大都市を創造し、古来より自然と共生してきた日本文化を世界に示す良い機会でもあると考え、『東京オリンピックで失われた川を東京オリンピック・パラリンピックで取り戻し、明治神宮の自然と共生する“新国立競技場”を創造しよう』と提言します。

1) この場所はもともと明治神宮外苑として造成されました。国費でつくられた内苑とは別に、寄付金によってつくられた地域であり、多くの国民の総意により管理・運営されてきたという歴史を持っております。また、本多静六博士の思想のもと造営された神宮の杜は、人工植林されたものでしたが、自然と共生すること、すなわち「自然の恵みと畏れ」とともに生きてきた日本人独特の感性を大切に育みながら年月を重ね、今日みるような自然森のような姿となっております。それだけに、この地は国民の総意として議論がつくされ、神宮内苑の思想に沿った形で次の世代に受け継がれるべき神聖な場所であるといえるのです。 限られた資源を欲望のままにむさぼり採り、生産・消費・廃棄してきた私たち人類の活動も、自然の浄化システムでは対応出来ないほどに環境を傷つけ、限界を迎えつつあります。日本人が古来より大切にしてきた自然と共生するという考え方を活かし、水と緑あふれる都市づくりを世界に示すことは、世界の今後の在り方を考える上で大きな意味を持つものと考えます。

2) 現在では都内の中小河川の多くはその姿を消しておりますが、雨が降れば低い場所に水が集まり、やがて川となって流れるということは都市であっても田舎であっても当たり前の姿であります。この地には、新宿御苑の池や寺院の池、玉川上水の余水吐けなどが現存しており、渋谷川を"せせらぎ"として復活・再生させることは、今や世界の潮流となりつつある「自然と共生する都市づくり」を進める上で大きな意味を持つと考えます。川を復活・再生させることは、自然に囲まれた憩いの場を提供するだけでなく、夏場の気温上昇の抑制、災害時の貴重な水源としての活用、自然の水循環の再生に繋がり、さらには地下河川トンネルの構築による洪水被害の低減など、多様な効果が期待されます。世界の大都市・東京に川を復活・再生させることは、東京の魅力をますます増大させ、世界の中心都市として東京が末永く存続することに繋がるのです。

3) 今回、新国立競技場建設をめぐっては開示情報が少なく、一部の識者・専門家の間でことが進んでしまったという印象をぬぐえません。ロンドンオリンピックのメインスタジアムが、CABE(Commission for Architecture and Built Environment)によって、一般市民と専門家、行政と国が互いに協力して出来上がった先例に学び、関係する自治体、団体、国、そして一般市民が議論を尽くして周辺整備を進めなければなりません。現在のこのタイミングが、残念ながら新国立競技場の周辺整備について議論出来る最後のチャンスです。私たちは、この機会を決して無駄にしてはなりません。

 歴史的な経緯からみた明治神宮の内苑・外苑の地が持つ意味をどう捉えるのかという観点と、未来の地球を見つめて次の世代に引き継ぐべき都市づくりの思想という観点から、2020年オリンピック・パラリンピックの開催が大きな転機となり得ることは間違いありません。

 川が戻れば、そこに暮らす人・訪れる人が変わり、やがて街や社会が変わります。歴史そのものが大きく変わるのです。ぜひとも渋谷川を再生させるべく、多方面からのご協力をお願い申し上げます。

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